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2010年 06月 19日
旅行後のデート。part4
 
んー、なんか、あれだね。。


電車に乗っていると彼からメールが入る


「なんか、なーに?」

「あれだよー。大人っていうか。なんだろーねー。」


相手の意図が分からないふりをしたり
相手に言わせたいことを言わせたり

彼に対してそんなことを一瞬だけ考えて下らなくなってやめた

言わせたいことは欲しい言葉で
それは私が彼に伝えたい言葉だ


「大人らしく言えば"明日もお互い仕事だしね"
私はコドモだから"バイバイすんのヤダ。もっと一緒にいたいよー"
それとも足りないくらいが調度いいのかなぁ・・・。」


送信ボタンを押して
大人だったらこういう曖昧なものの適切な分量を知っているのかもしれないと思う

でもやっぱりと言い訳をしながらもう一通メールを送る


「あ、でも私はいつもたんないや(笑)」

「俺もいつも足りないのです。。
この感じもいいかもね。なんか。」

「なんでだろーねー。こんなに一緒にいるのに。
人はそれを恋と呼びます(笑)」

「そうかー。。風が気持ちいー。」


上手くはぐらかされてると思いながら
少なくとも私はあなたに恋をしているのだと再確認した


このまま帰って一人になることはしたくなくて
いつものダーツバーに行って飲み始める

彼も地元に戻って飲んでいるようだ

気付くと時間は午前の3時を過ぎていた

家に着いた彼から家に帰ろうとする私にメールが届く


「お互い寝よねー。明日は仕事頑張ろー。
って一緒に朝までいた方がよかった。なんて思いません(笑)」

「あーバカバカ。
一緒にいたのと同じくらいしか寝れないじゃん、なんて
全然思わないもん。明日も働くぞー。おやすみ。」

「ねー。おやすみ。」


すごく切なくなって
でも少しだけあったかくなって

そんな夜が終わる。
 

# by nobiko9 | 2010-06-19 14:55 | 恋愛スル
2010年 06月 19日
旅行後のデート。part3
 
映像が、続かないんだ。


さっぱり意味が分からない


「俺の場合、本を読みながら頭の中に風景を創るんだけど
読み進めていくうちに "なんでこれがそこにあるの?" とか
"なんでいきなりこれが出てくるの" ってなっちゃう。
だからまたページ戻って、創りなおして・・・ってやると
気持ち悪くなったり、疲れたりして最後まで読めないんだ(笑)」

「それって、自分で映画撮ってるのと同じだね。」

「そうかも。自分と作者のイメージが一緒じゃないと
大抵不整合が起きてダメになっちゃう。」

「今まで最後まで読めた本て、あるの?」

「あるよ。2,3冊だけど。」


私はその場でタイトルをメモして
それはまったく耳にしたことがなかったけれど

絶対に読もうと心に誓う


「もう10年以上も前に読んだ本だから、今読んでみたら
ちょっと古いかもね。」

「最近は読んてみてないんでしょ?
意外に、今だったらいろんな本が読めたりしてね。」

「それはあるかもしれない。久しぶりに本屋見てみようかな。」


バールで店長のお勧めをつまみながら
ビールを飲んでワインを飲んで

なんで今日は平日なんだろうと不思議に思う


「あー、ちょっと酔っ払った。」

「どうする?行く?」

「行くって、どこ行くのよ(笑)」

「んー、どこだろね(笑)」


そんなこと言いながら
私はすでに彼を抱きしめたくてたまらない

お店を出てホテルに行って
一緒にいる間中キスばかりしていて

それでも二人とも今日は絶対に帰らなければならず
出会ってから初めて

泊まらずに電車で帰ることを試みる

何も冷えないまま大人になったつもりで私たちは駅に向かう

改札を通り抜け階段を上ると
ホームには今しがた仕事を終えた人たちがたくさん見える


アナウンスが聞こえて乗らなければならない電車が滑り込んできて
そちらに一歩踏み出そうとした私の手を彼が強く引く

時刻表の影に隠れて
駅の雑踏に紛れて

何かを確かめ合うようにキスをした。
 

# by nobiko9 | 2010-06-19 00:15 | 恋愛スル
2010年 06月 17日
旅行後のデート。part2
 
どこ行きますか?


笑いながら彼が私に聞く


「今日はこんな格好だし、立ち飲みとか居酒屋ちっくなとこがいい。
スカートだったら六本木のあのお店に連れてってほしかったけど(笑)」


結局以前にも行ったことのある
安くて美味しくてお気に入りのお店で軽く飲むことにする


お店に向かって歩きながら私はこの歳になってやっと
入念に化粧をしたり何を着ていくか鏡の前で迷う

そうした人たちの気持ちが分かるようになった


もっと可愛くありたい
もっと可愛いと思ってほしい

もっとドキドキさせたい
もっとドキドキしてほしい


中身とか外見なんてそんなのはどちらでもよくて

使える手段は120%使って
彼の思考や視覚をいかに楽しませるか

今ほど可愛く綺麗になりたいと望んだことはない

何でそんな単純なことに今まで思い当らなかったのだろう


いつもの店はいつものように混んでいて
かろうじて空いていたカウンターに滑り込む


「かんぱーい!!」


ビールで乾杯をする

おまかせで頼んだおつまみが届くまで
たまには真面目に仕事の話をしたりする


いや

思い返してみると
彼とはよく仕事の話をしている気がする

直接的な内容からお互いの仕事に関連する時事ネタまで

自分の考えよりも少し先に目を向けている人の話を聞くのは
悔しいのはもちろん本当におもしろい


そして

本の話になった


「本、読む人だっけ?」

「んー・・・本は、読まないんだよね。」


とても意外に思った
話している感触から絶対に読む人だと思っていた


「"読まない"というより"読めない"が正しいかも。」

読めないって、どういうこと?
 

# by nobiko9 | 2010-06-17 11:50 | 恋愛スル
2010年 06月 15日
旅行後のデート。part1
 
変態ドクター、ビール飲みいこーよー


彼は私のドクターでもちろん変態なので

天気がよくてビール日和だねとメールされれば

勢い余ってこんなメールを返してしまう



「なんちゅー誘いだー。いいねー。
ちょっとまって。今日はさぼり気味なので、調整します。」



外出の予定がなかった木曜日

まったく出かける気のなかった私は
会社で作業だけしに行く格好をしていて

こんなことならもっと可愛い洋服を着てくればよかったと
そういえば彼と会うのに初めてのパンツ姿かもしれないと思った


20時に駅で待ち合わせをする

大きな柱に少しもたれながら本を読む
周りの音が聞こえないくらいの音量で音楽をきく

彼のことを考えているから
本の内容も音楽もまったく頭に入ってこない


彼の手の感触や旅行先の夜景の美しさや日本酒の香りや
様々な記憶が霧のように流れていって気持ちがいい

しばらく目をつぶってそれらの記憶に集中する
映画のように風景がくるくると入れ替わって


そこで携帯電話が震えた


  まもなく到着ぅ!



我に返ってここは東京のど真ん中だと思い直して
本に栞を挟んで音楽を止めたプレーヤーとまとめて鞄にしまう

改札に目を向けると
背の高い彼の頭がひょっこりと現れて


私と視線が合うと
おどけたように笑って右手をあげた。
 

# by nobiko9 | 2010-06-15 00:37 | 恋愛スル
2010年 06月 09日
温泉。part8
 
で。今日は・・・帰るんだっけ?


お風呂に入ってエッチをしたらお腹がへって
ビールを飲んでしゃぶしゃぶを食べ始めて

こんなに寛いでしまってから
本当に帰るのか不思議に思って聞いてみる


「・・・・帰る?」

「車、大丈夫なんだっけ?」

「一応、48時間で借りたから明日の昼に戻せば大丈夫だよ。」

「んー・・・。」

「かえれ、る?(笑)」

「帰れないよねー。」

「ですよねー。」


結局この日は近くのラブホテルに泊まって

次の日に私の地元に戻ってきて
お気に入りのカフェでお茶をした

夕方になって窓からの景色が暗くなってきて

これで飲み始めたら
また帰りたくなくなってしまう


「そろそろ、かえろっか。」


私は意を決して彼に言う


改札までゆっくりと歩き
誰に会うかも分からない雑踏で

私は彼に軽くハグをして頬にキスをする

彼は私の右手を掴んでキスをする


指がするするとほどけて

私は彼の背中を見送りたくなくて

駅のホームで彼がいつもどんな気持ちなのか想像したくなくて


いつもそうしているように

くるりと背を向けて足早に歩き出す。
 

# by nobiko9 | 2010-06-09 20:03 | 恋愛スル