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2010年 12月 27日
初めてのデート。part6
  
ベッドに座って指を組みながら
涼しい顔で彼は言う

ちらりと顔を見て
意外にも強い雰囲気が感じられて目を逸らす

窓から夕日が落ちてきて
部屋が少し暗くなってきて

もう彼の顔をはっきりと見ることはできない



「・・・だってさ。そんなこと言わないでしょう?」

「・・・そっか。」

「おなかへった。外も暗いし、ご飯食べに行こう。」

「行くか。」



付き合っても告白すらもしていない人に

東京から会いに来て

ホテルの1室でベッドに横になって


不自然で可笑しな点はたくさんあるのに


何事もなかったかのようにホテルを出て電車に乗る


私にしては珍しくまかせっきりにしていて
お店の場所なんて調べていなかったから

グルグルと路地を回って
やっと辿り着いたお好み焼き屋は

彼が以前住んでいた町にあった店の支店らしく
まだ早い時間だというのに満席だった


お世辞にも綺麗とはいえない店内はカウンターしかなく
威勢のいい兄さん達の声が飛び交う


少し待って席に案内され
ビールで乾杯する

手書きのメニューや
隣の人が食べているものを注文する


二人で同じものを食べながら
「美味しいねぇ」と笑いながら

少しずつ酔いが回ってくるのを感じて

久しぶりに苦しくなるほどおなかがいっぱいになって
びっくりするほど安いお会計をすませて店の外に出た


「サムイ・・。」

昼間はあんなに暖かったのにと思いながら
マフラーを巻いていると

彼はテクテクと先に歩いて行ってしまう


「ちょ。待って。」


そう言いながら小走りに服の裾をつかむ





ポケットに収まっていた彼の左手が動いて

それは私の右手に繋がれて


彼は昔からずっとそうだったように
私の隣を歩いていた。
 

# by nobiko9 | 2010-12-27 12:51 | 恋愛スル
2010年 12月 13日
初めてのデート。part5
 
朝早くに起きて

ヒールでフラフラと歩いから足が疲れていたし
チェックインもしたいし

一旦ホテルに戻ることにした


少し広めなのがお気に入りで
前回と同じ部屋を予約していた

荷物を放り投げて
脱いだ靴を放り投げて

ベッドに横になる


「・・・ねむーい。」

「何時起きだっけ?」

「んーっと、実は寝てない。メールした時に家に帰った(笑)」

「はは。それはそれは。」


前回はソファにしか座らなかった彼が
そう言いながら私の隣のベッドに腰をかける


「年末年始、どっか行かないの?」

「行きたいよねー。予約とか全然とってないけど。
あーでも。こないだ男友達と海外旅行に行こうって盛り上がった。」

「うん。」

「でもなんか。予約取る寸前までいったんだけど
まずいかなーって、お互い思って。なんとなくそのまま放置。」

「まずいんだ?」

「昔からの友達で、そういうことには絶対にならない人なんだけど
やっぱりさ。なんか、ね。」


その昔
国内旅行に別の男友達と行った

もちろん何もなかった

でも
好きな男がいたらしていたかどうかは分からない


「それはさ。」

「ん?」


俺が行こうって言ったらどうする?
 

# by nobiko9 | 2010-12-13 16:57 | 恋愛スル
2010年 12月 13日
初めてのデート。part4
 
繁華街から30分ほどの街に降り立つ

お店までは裏道を選んで歩く


空は抜けるように青くて
楓は燃えるように赤くて

しんと静まりかえった小道を
のんびりと横切る野良猫

まるで映画の一場面をどこかからか見ているようだ


ジュリオの時もそうだったけれど
惹かれる人と一緒に囲まれる風景は

どうしてこんなにも嘘みたいに綺麗なんだろう


きっと脳に何かがドーピングされて

視覚や聴覚や嗅覚が
普段の自分とはまったく違う状態になるんだ



少し遅れて予約をしていたお店に到着する


暖簾をくぐり

びっしりと苔に包まれた水瓶を横目に小道を進み

個室でゆったりと食事を楽しむ


目の前で彼が箸を持って食事をしている風景が
なんだかものすごく不自然な気がしてきて

それに気付きたくないからか
とりとめのない話を続ける


おなかがいっぱいになってお店を出て
すぐ近くにある神社にお参りをしてみる


「何をお祈りしたの?」

「ないしょ。」


予定を決める時にあまり予定を入れないようにお願いした

何かをしたい気持ちはあるけど
そのために来たわけじゃなくて

何かをするなんてついでなのだから


要は
散歩したり話をしたり綺麗な風景を見たり

あなたとそういうことをするためにここに来たのだと


少しだけ伝わって入ればいいと思った。
 

# by nobiko9 | 2010-12-13 15:06 | 恋愛スル
2010年 12月 11日
ある日の。
  
おきてる?part3?
きっと寝てるんだろうなー


なんで
おきてるのさ
こんなじかんに


そっちこそ


いや、夢の中だったよ
いまももしかしたら・・・


きのう
夢で会ったよ


どんな夢?


どこにいるか分からなくて
ずっと探してて
最後の扉を
開けたら
いた


さがしてたんだ?
ずっと


だって
いないんだもん


でもみつけた


うん。
いたよ。
会えた。


みつかっちゃった


まっててくれるでしょ?


そうだね


どこにいてもいいよ
私が
あいにいく
みつけてあげる


ありがと
でも、
こんどはこっちから行ってもいいかな


わたし
フラフラしてるから
ちゃんと つかまえてね。


千鳥足w?


今日は かなりヤバイw


そんなんじゃ、オイラみつけらんないよ


だいじょうぶ
気持ちは フラフラしてない


そっか
んじゃ今夜も見つけにおいで


会いにいく
晴れてたし
星もみえた


そろそろ
話の続きは夢の中で


うん
おやすみ


おやすみ。
 

# by nobiko9 | 2010-12-11 00:48 | 恋愛スル
2010年 12月 09日
初めてのデート。part3
 
駅からのエスカレータに乗り込む

二段上に立つ彼を見上げる


「ホテル、取ったの?」

「うん。偉いから今回はちゃんと予約した。
こないだと同じとこ。」


一旦ホテルに荷物を置いてから
予約をしていたお店に移動をするため駅に戻る


「少し遅れそうだから、お店に電話してくるね。」


ガラガラの車両で座っている彼にそう声をかけて
携帯電話を持ってホームの柱の影で電話をかける


「あ、はい。すいません、よろしく・・・」


言いかけたところで何か音が聞こえたと思って振り向くと

ちょうどドアが閉まって
彼と私の荷物を載せた列車が発車するところだった


「え?うぁ。あ、はい。だ、大丈夫です。はい。」


電話越しに訝しむお店の人と話を続けながら
驚きを通り越して笑っている彼の顔が見えた

すぐさまメールをする



大変だ(笑)


あほー

とりあえず次の駅で降りてみた。



急いで隣のホームに駆け出してギリギリのところで電車に乗り込む

駅に着くと彼が笑っている


「あはは。すごい。びっくりしたね。」

「あほー。発車時間見てなかった俺も俺だけど。」

「あはは。だめだ。面白すぎる。コントみたいに扉が閉まったよ。」



そうやって二人でしばらくの間

駅の片隅でおなかが痛くなるほど笑い転げていた。
 

# by nobiko9 | 2010-12-09 13:49 | 恋愛スル