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2008年 05月 22日
オカピの誓い。part2
 
その日、私は指輪を買ってもらった


「少し見ておいて」と言われていたので
そこまでの値段はしないけどある程度のものを

もちろんシンプルな指輪をいくつか候補にあげていた
私の価値観ではあれに何万も費やすなんて気が知れないが仕方ない

お店に入ってぐるりと一周した後
店員に言ってガラスケースから目当ての指輪を出してもらう

デザインは二種類、片方のデザインは石が二種類、計三つ


  「こっちとこっちだったらどっちがいーい?」

  「シンプルで控えめな感じがするからこっちかな」

  「色は?どっちがいい?」

  「うーん。こっち?」

  「じゃあこれ、お願いします」


ものの3分程で終了


  「何笑ってるの?」

  「いや(笑)」

  「もっと"あー。どうしよう。こっちも可愛いけどこっちも素敵♪"
   とか言ってウダウダしてほしかった?」

  「逆だよ。そういうところのびらしくて好き」

  「良かった。だってあまり好きじゃないでしょ?こういう場所」


本当はあっちにあるゴツイ指輪や、揺れるピアスが好きだ

だがさっきの発言を聞く限りやはりオカピは
こういう女の子らしい指輪をプレゼントしたかったんだろう

ぐりぐりスパイラル頭の女より
ふんわりパーマでアンサンブルを着てる女が好きだという男が多いのと同じだ

でも心のどこかで彼といると
そういう可愛げなことをしても許されると思って楽しんでいる自分がいる


誕生日でもイベントでもないのに
数万円の金属の欠片が私の指にはまる

隣にいるオカピは満足げだ
二人きりになった後もしきりに私の手を取って眺めている


こういう時、本当に
この人は私のことが好きじゃないのだなと感じる

それは翌日「輝いてる?昨日、話題になった?」
なんてわざわざメールしてくるあたりにも伺える
(その日の深夜に指輪をしたまま行きつけのダーツバーに行ったから)

指輪を送った自分が好き
付き合ってる女にここまでしてやれる自分が好き
苦手な宝石店にも一緒に行ったし俺ってなんて大人なんだ

それが全面に押し出されている
きっとそんな微妙な感情を感じる女達は

嬉しがるフリ、可愛く「ありがとう」と言う術を学んでいくのだろう

もちろん嬉しいし感謝してるけど
それはきっと彼女達本来の笑顔ではないような気がする

望まれる笑顔を作る、そしてそれで幸せを感じる人達がいる


そんなことをぼんやりと考えながら
私はオカピの目を見つめてゆっくりと言った


  「ほんとにありがとう。嬉しい。」


そしてオカピに抱きしめられた

誓わせるための第一段階終了
   

by nobiko9 | 2008-05-22 14:39 | 恋愛スル


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