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2008年 02月 20日
4019 part2
 
その日私たちは、四人で食事をする約束をしていた

待ち合わせの時間を5分過ぎて到着した私が通された席には
まだ誰の姿もなかった

それから10分ほどして彼が到着した
そのすぐ後に彼女から「今会社を出る」とメールがきた
その1時間後にもう一人の彼から今から向かうと連絡がきた

私以外は皆、相応に忙しい仕事をしているので多少の覚悟はしていたが
ここまで酷いとは、特に企画した彼女が遅れるとは思わなかった


個々にはもちろん繋がりがあったが
4人で食事をするのは初めてだった

とはいえ彼とだけは、二人でまともに話すのすら
初めてだったかもしれない

だから最初に彼が現れた時
私は一瞬戸惑いを覚えた

二人っきりになることを想定していなかったからだ

もちろん嫌いなわけではない
どちらかというと好きなほうだ

それでも日常から切り離された場所で
突然二人にさせられる準備を私はまったくといっていいほどしていなかった


「とりあえず何か飲もうか。」


彼はビールを、私は甘めのカクテルをオーダーする
彼女が来るまで近況などを話し始める

話を聞き出す技術に長ける彼に
私はいいように扱われていた

時たま意見が異なると
冗談半分にわざと本気になって言い合いをしてみたりもした

彼は子供な私を面白がっているようだった

そう見えるくらい優しい目で見られていたし
その姿が様になるほど彼は大人だった


「で、野比は結婚しないのか?」

「しばらくはないんじゃないですか。あーでも。
 前に付き合ってた人はちょっとしたかったかな。
 そのくらい好きだったし。」

「いくつくらいの人?」

「私より8つ上、かな。」

「ってことは。なんだ、俺の1コ下じゃん。」

「えぇ?!そうでしたっけ?」

「そんな驚くなよ。てか、どういう意味だよ(笑)」

「え、えっと・・・。別に老けて見えるとかじゃなくて単純な驚きです。」


大学の友達が地元に遊びに来ると違和感を感じるのと同じように
自分の中で区分が異なる人間のことは常にそれぞれの軸で考えている

別々のカテゴリーに置いている人間のことを比べたり
逆に共通点を見つけるなんてことはしない


前に付き合っていた雅さんに対しては
恋愛という独立した軸で見ていた

彼は

私が入社した時から営業の第一線でバリバリと活躍していた
そんな先輩のことは

「会社」というカテゴリーの中に放り投げたままで
そこから取り出すことを今、初めてしたと思った
  

by nobiko9 | 2008-02-20 09:21 | 恋愛スル


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