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2008年 01月 09日
聖なるクリスマスの正しい過ごし方。Part13
 
時間になりいざ陶芸教室のドアを開ける
ここは虎が見つけてくれた"ろくろ"の体験教室だ


  「こんにちはー。よろしくお願いします!」


綺麗な室内は天井が高く
もしかしたら倉庫を改装して使っているのかもしれない

若い男の先生が一人
この時間の生徒は私たちだけだ

ぎゃーぎゃーと騒ぎながら準備を進める
初めての体験に心なしか緊張している自分がいる

でもそれ以上に
期待と興奮が勝っているのがはっきりと分かる


足でゆっくりとペダルを踏み込むと
それに合わせて静かにろくろが回りだす

たっぷりと水分を含んだ両手を
冷たい土にそっと沿わせていく

気持ちいい
ちょっとした動きで大きく形が変わる

神経を集中させる
話しながらやると100%失敗する

隣を見ると虎の作業は順調に進んでいるようだ


  「どっちが上手いか勝負だー。」


なんて言いながら始めたけど
自分の気持ちの不安定さを証明するかのような出来に
私は思わず苦笑いを浮かべた


  「はーい。それじゃ今作ってるので終わりにしてください。」


先生が言う
予定していた2時間が終了した

私はお椀のようなカップのようなものを2つ焼くことにした


  「作品の裏側にイニシャル、色の番号、それと今日の日付入れますから。」

  「ぷぷっ。」


虎の笑い声が聞こえた

考えてみれば
男と二人でクリスマスイブにゴーストよろしくロクロを回して
カップを見るたびにそこには「2007年12月24日」って書かれている

もんすんごいハズカシイワ・・・・・・


  「先生。どうにか日付変えてもらうことってできませんかね。
   23日でも25日でも。24日だけは・・・。嫌です・・・。」

  「ぷぷっ。いや、無理です。はい、絶対日付は変えられませんね(笑)」


そんな阿保な会話をしながらも無事に作業を終え
外に出ると辺りはすでに真っ暗だった


  「ご飯どうする?」

  「食べると帰りたくなくなる時間になるから
   今日はさっくり帰るわ。」

  「そっか。分かった。」


二人で車に乗り込む

勢いよく後ろに流れていく光の群れを眺めながら
私は彼との不思議な関係を思い返していた。
 

by nobiko9 | 2008-01-09 09:23 | 恋愛スル


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