2007年 12月 26日
ガラガラ、ガラガラ スケートボードが滑る音で我に帰る 梅は今頃どこかの雪山で 雪にまみれながらウハウハ言ってるに違いない そして隣を歩くこの男は 何を考えているのかまったく分からない 同じように思考が読めない人に対して 好意を持ったり持たなかったりするのは面白い 「そろそろいこっか。」 「とりあえず、駅?」 「んー。運動がてら渋谷まで歩こうか?」 ちょっと楽しくなってきて 私はそんなことを提案してみる ここからなら3kmもないだろう ブーツというのがマイナス要因だが仕方ない 渋谷に着く頃には小腹がすいて ケーキとカフェオレが美味しくなっていることは間違いない 小学校や児童館や郵便局を通り過ぎて きっと迷っているんだろうけど 気付かないフリをして歩き続ける 目黒川を超え高速をしばらく進むと 商店が増えてクリスマスらしい賑やかさが増してくる 道玄坂上の信号で さてどこに行こうかと考える 「ちょっと行きたいお店あるんだけどいいかな? お茶しながら休憩しよう。」 「うん。いいよ。」 3連休の最初の土曜日だというのに 時間が夕方だということを差し引いても その店には私達の他に2組の客しか居なかった 想像していたよりも3倍ほどある店内には ゆったりとしたスペースでソファが置かれ 席を選び放題の私は 特等席だと思われる席に迷わず向かった 2人だから2人テーブルなんて野暮なことはしない 女性なら6人は座れそうな隅の席に深く腰をかけクッションを抱える 左手にある棚には数冊の雑誌があり その中にTITLeが2冊重ねてあった 表紙には「新・写真道楽!」とあり 私は会ったこともないF.E.S.Nの面々を思い浮かべながら にやけた顔でページをめくり始める 温かいカフェオレと昨日作ったばかりだというティラミスを食べながら 私はあるページから目が離せなくなっていた それは大森克己さんという写真家が ドキュメンタリー写真を撮る場合の心得について書いている文章だ 独りになれ。現在の自分というものを簡単に信じるな。 しょせんあなたの理解はあなたを超えられない。 世界はあなたの友達ではない。 (「ドキュメンタリー写真の心得」より一部抜粋) どストライクだった 思考が脳の端から端に渦を巻いている 私の理解は私を超えられない・・・・・・ 目の前にPCがあれば すぐさま言葉を吐き出したかった ちょっと落ち着こうと思い 少し冷えたカフェオレを一口飲む そこで初めて 京がこちらを見ているのに気付いた。
by nobiko9
| 2007-12-26 17:03
| 恋愛スル
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