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2007年 07月 27日
豆との付き合い。part11
 
付き合いはせず、かといって離れるわけでもなく
微妙な距離感のまま時が流れた。

そして私はこあらに出会った。
気付けば一緒に暮らすようになっていた。


私は
またしても豆を裏切った。


社会人として仕事も忙しく
週末はこあらと過ごし。
たまには友達とも遊んで。

大学の時と同じように
新しい世界に、新しい人達に夢中になった。


あの時。
豆はいったい何を考えていたんだろう。
一人の時間を、どうやって過ごしていたんだろう。


そして、こあらとの別れが訪れる。


その頃になると私の中で
豆は特別な意味合いを持つようになっていた。


若かりし頃の素晴らしい恋愛の象徴。
一生この人と生きていけるという確信。
純粋で私のことを一途に愛してくれた豆。

愛されることの、ぬるま湯の心地よさ。

男との別れが訪れると同時に
豆との恋愛を思い出さずにはいられなかった。


何かを期待して連絡を取ったわけではない。
未だに思われていると考えるほど自惚れてもいなかった。

それでも私は豆の声が聞きたかった。
つらい時はいつも、心のどこかで豆がいると思っていた。


何より。10年以上もの長い間。
あれほど濃密な時間を共有した他人は
豆しかいなかった。

思い出や記憶の中には必ず豆がいた。


こあらと別れてから再会した私たちの関係は
セフレ以外のなにものでもなかった。

お互い時間がある時に会って豆の部屋に行く。

休日をずっと一緒に過ごすことはしない。
互いのプライベートには干渉しない。


私は何も求められないことに安心する一方
これがいかに不自然な状態かということも分かっていた。

きっと長くは続かない。
惰性以外のなにものでもない。
そこには呆れるくらい、何もなかった。


そして同時に。
変わらないことに不満を持っていたのに
豆が変わっていることに気付いて

その変化を期待していなかった自分に
情けなくなった。

いったい自分は何がしたいのだろうと思った。
いったいどうあれば満足したんだろう。
いったい、何が欲しかったんだろう。


会うたび自己嫌悪に陥り
それならば会わなければいいものを
気付けば連絡をしている自分がいた。

「寂しいから仕方がない」「これはこれで成り立っている」
そう無理やり考えたところで、納得できるはずもなかった。

気持ちが悪いのに止められない。
私は心のどこかで叫んでいた。


  「誰か、止めてくれ」


そして転機が訪れる
 

by nobiko9 | 2007-07-27 14:20 | 恋愛スル


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