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2010年 03月 31日
好きな人ができた。part18
 
・・・・・・。


今すぐに地下鉄の階段を駆け下りて
自動改札を通り抜ければ

家に帰れる

でも私はそれをしない


彼はもう一度同じ言葉を発する


「どう、しよっか?」

「どうしよっかねー。」

「明日、会社。だよね?」

「そだねー。」

「でもさ。」

「ん?」

「なんか、帰りたくないよねー(笑)」

「そうだねー(笑)」

「嵐だし。」

「うん。嵐だし。」


二人とも酔っ払いだけど

酔ったせいにできるほど飲んでいないし

この歳で酔ったことを言い訳にするなんてカッコ悪すぎる


「・・・ウチで飲み直す?それとも、どっか行く?」

「任せる。」

「・・・・・。決めた。」


そう言って歩き出す彼と腕を組んでいる私は
すっかり頭が冷えて思考が冴えわたる

いつものように自問自答する


最初に会った時にこの人のことを好きだと思ったか
→Yes

二回目に会った時にもう一度会いたいと思ったか
→Yes

今日会う時にするかもしれない可能性を思い浮かべたか
→Yes

今してみたいと思っているか
→Yes


ケンの時にも思ったけれど
そうなる可能性を思い浮かべていなかったわけはない

想像できるのに回避しなかったのは
自分もそうしたかったからに他ならない


ケンの時と違うのは

私がすごくドキドキしていて素敵な気分で
もしかしたら彼もそう考えてくれているんじゃないかと思わせてくれることだ


なんでだろーな
私はこの人のことを何も知らないのに


違う


何も知らないからもっと一緒にいて
もっと知りたいと思っているんだ。
 
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by nobiko9 | 2010-03-31 19:09 | 恋愛スル
2010年 03月 31日
好きな人ができた。part17
 
・・・ここ?


とても東京とは思えない雰囲気に私は圧倒される

左手には蔵があり
奥には竹林が見える


「滑るから気をつけて。」

「すごい。なんだか京都みたいだねー。」

「あぁ、京都の料亭って感じ?いいっしょ。」

「東京のど真ん中とは思えない(笑)」


石畳をゆっくりと入り口に向かう


「いらっしゃいませ。」


着物姿の女将さんが二階に案内してくれる

古い一軒家を改築した店内は
年季の入った梁が艶々と綺麗だ


「こちらへどうぞ。」


ガラス戸に囲まれた部屋は
すきま風が吹いて少し寒い


「ごめんなさいね。古い建物だから寒くて。」

「いえいえ。すごく素敵ですね。」


横座りのソファに二人で腰掛ける

目の前の大きなガラス戸からは
ビルに挟まれた東京タワーがぼんやりと見える

私たちの他には男女4人グループが一組だけでうるさい音楽もなく
薄暗い店内にはゴーゴーと木々の揺れる音だけが響く


「嵐だねー。」

「ほんと。すごい天気だね。」

「なんかウキウキするね。」

「うん。小さい頃、台風ってちょっと嬉しかったりした。」


足元には電気ストーブの暖かい風があたり
ソファの肌触りはとても気持ちよく

和風の食事は美味しく
お酒は当然のように進む


今となっては何を話したかよく覚えていない

きっと仕事の話とか別れた彼氏の話とか
友達の話とか行きたいイベントの話とか

そういういつもあるような普通の会話だ


でも

食べ方とか相槌の打ち方とか
言葉の選び方とか彼の声が

会ってまだ3回目だとは思えないほどすんなりと入ってきて


それがもし

このお店の雰囲気のせいだとしたら
もうそれは彼の勝ちなわけだし

この台風のせいだとしたら
もうそれは運命なわけだし


だから

お店を出て「どうしよっか?」
と言われた時に


まだ

頑張れば電車のある時間だったのに


私は何も言わなかったんだ。
 
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by nobiko9 | 2010-03-31 08:11 | 恋愛スル
2010年 03月 31日
好きな人ができた。part16

今向かってる!ごめん。ちょい遅刻。


歩いて行こうと思っていたのに
こんな天気でどうしろっていうんだ

一瞬
走って行こうかとも思ったけど

傘なんて持っていない私の

せっかく着てきたワンピースと
ブーツと鞄が可愛そうに思えてきて

メールを打ちながらやっとの思いでタクシーを捕まえる

道は当然のように混んでいる


「ここで停めてくださいっ!」


一つ手前の交差点だけど
ここからだったら走ったほうが早い

みぞれは雪に変わり風は強くて冷たくて
少し外にいただけで肩が白くなる


カッカッ カッカッ カッカッ


走っている時はいつも夜でこんな天気だ
なんでこんな時に限ってこうなるんだ

地下鉄の出口のそばまで来ると
彼が傘をさしているのが見えた


「ごめんっ!おまたせ!」

「ちょっ。傘は?」

「ないよねー(笑)入れて。」

「すごい天気だね。」

「うん。あそこから走ってきただけなのに、こんななった。」


毛先からは水がしたたり
コートには少し雪が積っている


「さむいねー。ちょっと歩くんだけど。行こう。」

「うん。」


一つの傘に二人で入って横断歩道の青を待つ


「あのさ。ちゃんと自分も入ってね。濡れちゃうよ?」


私より15cmほど背の高い彼は
傘のほとんどを私側にさしていた


「いいんだよ。風がさ、こっちから吹いてるじゃん。
俺が濡れないためにこうしてるの。」

「ならいいけどさ。」


大きな通りから徐々に薄暗い住宅街の奥に入っていく
こんな場所にご飯屋があるとは思えない


「ほんとに、こっち?」

「んー、たぶん・・・。」

「まぁ、間違えたら戻ろう(笑)」


そんなことを言いながら iPhone を覗きこみながら進む

しばらくして細い路地の突き当りを右に折れるとそこには

立派な門構えの館があった。
 
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by nobiko9 | 2010-03-31 00:02 | 恋愛スル
2010年 03月 30日
好きな人ができた。part15
 
無題

 どもー。
 今週は大阪、京都色々面白かったよー、ちょっと大変だったけど~。。。
 来週とかはいそがしいですかー?
 ご飯でも行きませんかー。


立ち飲み屋で一緒した人からのメールだった


 お帰りなさーい。
 来週なら火曜日いかがですか?
 大変話、聞かせて(笑)


 火曜日いいよー。
 食べ物、好きなのと嫌いなものってなーに?


あれ?

今度座り飲みをしようと言っていたけれど
それは立ち飲み屋の2階の座敷の話ではなかったのか?


なんか普通にご飯食べに行く感じになってる


でもまぁ
いつも探す側だから

こうやってちょっとしたデートみたいに
いろいろ聞いてくれること自体がなんだか嬉しい


お店を予約してもらって
待ち合わせ場所と時間を連絡しあって

当日は朝から帰る気満々の面持ちで仕事する


「野比さん、今日はおでかけ?」

「はい。デートです。」

「いいねー。デート。」

「今日は早く帰りますから、何かあったら今のうちに言ってくださいね(笑)」


隣のお兄さんと軽口を叩きながら仕事が進む

早く帰るために早く会社に来て早く仕事をするなんて
なんて効率的なんだろうかと思う


「おつかれさまでーす。お先失礼します。」

そうしていざ外に出てみると



それまでの春の陽気が嘘だったんじゃないかと思うくらい


横殴りのみぞれと嵐のような夜があった。
 
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by nobiko9 | 2010-03-30 11:14 | 恋愛スル
2010年 03月 30日
好きな人ができた。part14
 
最悪だ。


いつもよりすいている車内で私はひとりつぶやく

一睡もしていない
土曜日に会社に行く
あいつとキスをした

それらは全て事実だ


彼も私も特定のパートナーはいない

誰も傷ついてないし何も変わってないから
結局は何もなかったことと同じだけど

なぜか分からないけれど最悪だと思っている私がいる


こういうことが周りの友達にバレた時に
自分の評価が下がることを恐れているのか

彼は私のダーツペアの仲の良い友達だから
ダーツペアに後ろめたさを感じているのか

酔っ払っていたからという言い訳を使って
逃げることができると思っている弱さに気付いたからなのか

好きでもない男とキスをして
その上エッチしたいと思っている自分への嫌悪感なのか


この感覚は
その昔にケンという男とした時に似ている

でもそれよりも最悪だと思ってるってことは
やっぱり環境や友人の繋がりの違いなんだろう



興味があるからしたい
気持ち良さそうだからしたい


会社に行かなくてもいい状況だったらだぶんしてた

そしてケンとは比べものにならないくらいへこんでた


最後には何かが変わって何かが失くなったはずだ



あーちくしょう

それらはきっと男だったら失くならないはずのものだ


あーちくしょう

なんでこんなに悶々としながら会社で仕事なんかしてるんだ


あーちくしょう

私はあいつのことがまったく好きじゃない




そんな場違いな思考を止められず
PCに向かいながらキーを叩いた時

傍らにある携帯電話が震える。
 
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by nobiko9 | 2010-03-30 06:58 | 恋愛スル
2010年 03月 29日
好きな人ができた。part13
 
おーきーてー。


戻って来ない彼の様子を見に行くと

ドアが半分開いたまま床に座っていた


「・・・ん?」

「はい。行くよー。」


彼の腕を引っ張り起きあがらせる

お腹もすいているし眠いし
とっととラーメン食べてとっとと会社に行こう


「のびさん。」

「はいはい?」

「きて。」

「ん?」

「早く。」


そう言って腕を取られて引き寄せられて



キスをした



されたんじゃない

私もきっと同じくらいしたかった


壁を一枚隔てた向こう側に
スタッフが待っているのは分かっていた

それでも抱きすくめられて
付き合ったばかりの恋人同士のようなキスをした


「やばいね。」

「うん。やばい。」


するのが止まらなくなりそうなくらい

彼のキスはとても気持ちよかった


嫌いじゃないけどそこまで好きじゃない

そこまで好きじゃないけど気持ちがよくて

気持ちがなくたって気持ちよくなれる人間が

この世の中にはいるもんだ


スタッフと2台の車に分かれて幹線道路のラーメン屋に向かう


私はもちろん彼の車の助手席だ

そして私の太ももには彼の手が置いてあり

信号で止まるたびにキスをした



「しよ?」

「会社。」

「なんで?今日、行かなきゃいけないの?」

「行かなきゃいけないの。」

「ほんとに?」

「ほんとに(笑)」


ラーメンを食べてスタッフと別れて
彼は私を駅まで送ってくれる


「あー。私もすごい、したい。」

「俺、女の人からしたい、って言われたの初めてだわ(笑)」

「だって、したいでしょ?」

「めちゃくちゃ、したい」


朝っぱらからなんつー会話してるんだ


「でもね。しちゃったら、もう何にもよくないんだよ。
したいけどできない、しないっていうの、よくない?」


彼はよく分からないという顔をしてこちらを見る



駅について

人ごみのど真ん中でもう一度キスをして

私は会社に向かう。
 
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by nobiko9 | 2010-03-29 20:32 | 恋愛スル
2010年 03月 29日
好きな人ができた。part12
 
なにやってるの?


酔っ払ってカウンターに突っ伏している彼の
頭の上から柔らかに問いかける


「んー?のびさんの足触ってるの。」

「触ってるの、じゃないでしょ。」

「なんで?」

「こまる。」

「なんで?」

「なんでじゃない。」

「いいじゃん。綺麗なんだし。」

「よくない。」


彼の手はワンピースでブーツの私の太ももを
優しく撫でている


あー

こんなの


まったくもって嫌がっているうちに入らない


「ねぇ。」

「・・・・・・ん?」

「起きないの?」

「起きないの。」


私は立ってスタッフのダーツを見ている

彼の手は後ろからゆっくりと太ももを這い上がってくる

彼らは無邪気にダーツをしている


彼の手はもちろん彼らの視界からは死角になっている


やばいなーやらしいなー

てかこんなとこでこんな人とこんな状況がウケル


「ラーメン食べ行こう!」


ゲームに負けたスタッフが陽気に言う

彼の手はゆっくりと自分のほうに戻っていく

私は少し息をついて安心する


「あー俺、ちょっとトイレ」


カウンターの彼がトイレに向かい
私たちは帰り仕度を始める


それにしてもうまいなー

さすがに遊んでいるだけあるなー

やっぱり男も可愛げあるといろんなことが許されるよなー


私みたいな馬鹿な女がいるから

世の中のマトモな女に迷惑かけるんだろなー


あー酔っ払って脈絡なくなってきた


「遅くね?」

「寝てんのかな?ちょっと見てくるね。」



私はぼんやりとトイレに向かった。
 
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by nobiko9 | 2010-03-29 10:39 | 恋愛スル
2010年 03月 27日
好きな人ができた。part11
 
今すぐ戻ってきて、のびさん。



ちょっと待て

化粧を落として着替えて
さっきベッドに入ったばかりなのに


この間の日曜日に梅と買い物したのが遠い昔のようだ


朝の8時半から深夜まで仕事して

明日は休日出勤しようと思ったから
今日くらいはと早く帰ってきて

勢いダーツバーに寄ったら酔っ払って
3時間は眠れると思ってやっとの思いで帰ってきたのに


なぜお前からの電話で起こされる


「○○ さん来たから、ね、のびさん。早くねー!」



店長は私が来るのが当然だとでも言うような口調で
一方的に話して電話を切る

それでものろのろと仕度をしてお店に向かうのは
店長のこともその人のことも嫌いじゃないし

このまま仕事行くのも面白いと思ったからだ


忙しいのは嫌いじゃない

今週だってダーツのペアと遊んでいたし
友達とご飯食べてジムにも行った


「おかえりー(笑)」

「てかさ、なんでこんな時間に店来るのよ!」

「だってさー、他で投げて帰ってきたら開いてるんだもん」

「開いてない!閉める準備してるだけでしょっ!!」


スタッフはダーツの練習してる
店長はレジを閉めたり片づけたりしている
酔っ払った彼はカウンターで笑ってる


そのうちにスタッフと店長がダーツの練習を始めた

私はタダ酒を飲みながら
カウンターに寄りかかって二人のゲームを見ていた





カウンターの彼の手が

私の足に触れているような感触があった。
 
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by nobiko9 | 2010-03-27 11:18 | 恋愛スル
2010年 03月 26日
好きな人ができた。part10
 
あった。


どうやら向かいの派手なクレープ屋に目を奪われて
二人してお店を通り過ぎていたようだ

お店の中には女の子向けのチープなアクセサリーと
蜻蛉玉を使った作品が所狭しと並んでいた

別々に店内を歩き回りながら
たまにはピアスなんて買ってもいいかなーなんて考えていた

でも なんだか踏ん切りがつかずに表に出る

梅も何も買っていないようだ


「何かいいのあった?」

「思ったより高いのな、あれ。」

「ねー、素敵なのはやっぱりするね。」

「お返しに考えてたけど、どうすっかぁー。」

「お返し?あぁ、ホワイトデー?」

「お菓子なんかより、よくね?
パーツだけ渡せば後は好きにアレンジして
使ってもらえるし。」

「そだねー。彼氏じゃない人からアクセサリーもらうの
微妙な人もいるから、そっちのほうがいいかも。
その辺りは先に軽く聞いてみたら?」

「って言っても、既婚者で、こないだ行ったボードの時に
みんなと一緒にもらっただけなんだけどな(笑)」

「あはは。そうなんだ。でも嬉しいじゃん。」

「てか、のびのも、だから。」

「へ?」

「もらったチョコ、結構入ってたじゃん?
だからボード行った時にみんなで食べて。
すげーうまかった。」

「あー。あれ、何個か試食して
一番美味しかったやつを買ったんだよ。
喜んでもらえたならよかった。」


ほんとにこの人は

いつもいつも私を幸せな気分にしてくれる



でもこれを自分から望むなんて贅沢すぎる

梅は私が望まないからこそこうやって側にいてくれる



万が一 本当に万が一 彼氏彼女になったら

私はもっと多くを望んでしまいそうだし
梅はもっと厳しく私に向き合うような気がした

それは今の関係とは正反対のものだ


不器用で無愛想で
それでいて人一倍相手のことを考えていて

愛すべき男友達


それからしばらくブラブラして
地元に戻って飲んで酔っ払ってバイバイして


うん

梅はすげーイイ男だけど
今の私はそういうふうには好きにならないんだ。
 
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by nobiko9 | 2010-03-26 12:14 | 恋愛スル
2010年 03月 26日
好きな人ができた。part9
 
遊び行こう。


相手の「もしもし」も待たずに開口一番そう言った

は、笑って言った



「どこにいんの?」

「今さっき試験終わって、まだ水道橋。」

「おつかれさん。」

「遊ぼう遊ぼう。もう疲れたー、やだーあそぼー。」
梅は何やってるの?」

「洗濯して、掃除して、いろいろ。」

「今日はボード行ってないんだね。珍しい。」

「そう。今日は行かない日。あー・・・新宿?」

「いいよー。着いたら電話して?」



金曜日に飲み行こうと誘われて
試験勉強があるからと断ったばかりだった


日差しだけは春めいている中
紀伊国屋で本を立ち読みしながら梅を待つ


好きだった頃のようなドキドキはない

会って「どこに行こう」とか「何を話そう」とか
変な緊張感もない

それでも私を笑顔にさせてくれる大好きな男に違いなかった


合流してランチを食べて洋服を買うのに付き合ってもらって
小物を見ながらさて次は何をしようという話になった


「梅、どっか行きたいとこある?」

「あー、・・・高円寺」

「こうえんじ?」

「あぁ、高円寺。」

「すぐじゃん。いこー!」



丸ノ内線に10分揺られたらもう新高円寺だ


地上に出て

上が南の地図のせいで道に迷って

ブックオフに寄ったり警官に切れているオジサンを横目に見ながら

商店街を高円寺駅に向かって北上する


なだらかに続く街並みはなんだか優しくて
道行くカップルもおじさんも子供も

誰もかれもが幸せそうに見えた


「そういえば、どこ行きたいの?洋服屋さん?」

「いや、蜻蛉玉の店。」

蜻蛉玉?
 
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by nobiko9 | 2010-03-26 00:41 | 恋愛スル