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2008年 10月 03日
恋に落ちる。Part7
 
帰りの車の中で私の携帯が震える


  お土産持ってくから、暇なら後でお店きてね♪


ダーツバーで仲良くしている女の子からだ


  「彼女からメールきた。帰りにちょっとお店寄るわー。」

  「今日一日、俺と一緒にいたって言ったらすげーびっくりするだろうな。」

  「そりゃあ、もう。絶対に質問攻めにあうわ。
   なんで?どうして?ってさ(笑)」

  「うわー。言いたいけど言いたくねー。」

  「水族館でお土産でも買ってきてあげればよかったかな?」

  「いや。止めとこう(笑)」

  「うん。私もそう思う(笑)
   とりあえず行くって返信しとくー。」


道路の混み具合が分からなかったので
余裕をもって遅めの時間を連絡する

たまたま流れていた道で
予定よりも大分早く戻ってきてしまった


  「この辺、俺がバイトしてた時によくドライバーが
   休憩してたんだよな。車も人もあんまり通らないから。」

  「春になると桜が満開になったりするの?」

  「あぁ。すごいよ。のびに見せてあげたい。」

  「うん。来たいな。」

  「来年一緒に見に来よう?
   てか、ちょっと休んでっていい?さすがに疲れた(笑)」


人通りの少ない一通の片側に車を止める

シートを倒して空を見上げながら大きく伸びをする
私も思ったより大分疲れているみたいだ

その空に汚れを見つけた、と思ったら
ルーフのガラスの上を小さな蟻がゆっくりと歩いていた


  「ねぇ。すごいね。蟻を下から見れることなんてそうそうないよ。
   自分たちが地下に潜ってる気分。」

  「ほんとだ。」


そう言った彼の左手が私の右手を包む


自分から言うのは止めておこうと思っていた

今日一日のデートも何も言われなかったし
あの観覧車の中ですら何もなかった

キスはもちろんエッチもなく
だからしばらくはこういう関係でいたいという彼の希望なのだと思った

それが彼にとって恋愛の手前でも仲の良い女友達としてでも
彼が私とこうやって一緒にいることに変わりはないのだから


そして私はこの数日間を思い返していた

いつも好きになるのは友達になってからだけど

最初から対象外で何とも思ってなかった人に
こんなに短時間でここまで強く惹かれることなんてあっただろうか


あと少しの間だけこうしていたい
そう思いながらゆっくりと目を閉じた。
 

by nobiko9 | 2008-10-03 10:51 | 恋愛スル


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