2008年 10月 02日
恋に落ちる。Part6
 
地上120m
観覧車という密室で好きな男と二人

バカじゃないの?ありえんでしょ
そんなドラマのような展開・・・


  「うわ。まじで止まった。」

  「すげー。ウケルね。」

  「いや、でもちょっと怖いかも・・・。」

  「これで落ちたらそのまま海まで転がって行くかもしんない(笑)」

  「もう!そういうこと言うの止めてよ~。」


ロマンチックになる雰囲気なんて微塵もなく
このアクシデントを笑い合う私たち


いや違う


ほんの数十秒だけ空間も時間も切り離されて
だからこそこの非日常を正面から捕らえたくなかった

少しでもこの箱の中に真剣な空気を持ち込んだら
膝を突き合わせて向き合わなきゃいけなくなりそうで

彼がどう思っているのかは知らないが少なくとも私は
こんな状況で物事を正しく判断できるとは思えない


やけに大きく聞こえる心臓の音は
彼に聞こえないか心配になるほどで

もしこの音に気付いたなら
この特異な状況のせいだと思ってほしかった



  「運転、再開いたします。」



低いアナウンスとともに何事もなかったように動き出す観覧車

1周17分はあっという間で
徐々に近づいてくる地上をぼんやりと眺めていた


辺りの景色はオレンジから金と銀に変わろうとしていて
見えるもの全てがキラキラと輝いている

そう
彼と一緒にいると目に入るもの全てが美しい


地上に戻り、差し出された彼の手を取って観覧車を降りた


  「ありがと。」

  「ん。」


あぁ、だめだ


「恋している」以外に

この状況を何と表現したらよいのだろう。
 
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by nobiko9 | 2008-10-02 09:53 | 恋愛スル


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