2008年 08月 25日
彼に会う。Part6
 
身体の芯が熱くなる
ほんとにそろそろまずい

酔いが回る前に早く帰りたい
この短時間にカクテル2杯とテキーラはまずい


お会計をして、他のお客さんとスタッフにさよならをして
やっとのことで店のドアを開ける

横断歩道までの間、フラフラと足元がおぼつかない


  「大丈夫?」

  「んー。だいじょうぶ。・・・あいつのせいだ。
   あいつと駅で会ったからこんなことになったんだ。」

  「いや。あのスタッフのせいじゃね?」

  「違うよ。元彼と会ってなかったらそもそも今日お店に来てなかったから。
   だからやっぱりあいつのせいなの。」


危うく赤信号をそのまま渡りそうになる
タクシーが私の目の前をかなりのスピードで通り過ぎる


  「ほんとに大丈夫?」

  「だいじょうぶ・・・。」

  「大丈夫じゃなさそうだけど(笑)家まで送るよ?」

  「んー、・・・それじゃ、お願いしても、いい?」

  「うん。家、反対側だよね?」

  「はい。ありがとうございます・・・。」

  「なんでいきなり敬語(笑)気にすんなって。」


靴を脱ぎたい

ヒールがグラグラと揺れているような錯覚を覚える
バランスが取れず、足を前に出すだけで精一杯だ


  「ほんとにごめんね。ありがとね。」

  「全然いいよ。それより今度からダメそうだったらちゃんと言って?
   俺、替わりに飲むからさ。テキーラはマジ危険だよ?(笑)」


そう言って彼はふらつく私の手を握った
いや、もしかしたら私から手を差し出したのかもしれない

そんなことは大したことじゃない
どちらにしても

二人とも手を繋いで帰りたいと思っていたんだろう


何の感情もない人と
何の関わり合いもない人と

誰でもいいけど安全で面倒くさくない人と

こうして触れ合うことで心の中が落ち着いてくる


  「ねぇ。」

  「ん?」


そう言って肩越しに見上げた私の目に映ったのは
今まで何度となく見てきたのに

今日初めて会ったかと思うほど
見知らぬ男の顔だった。
 
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by nobiko9 | 2008-08-25 00:27 | 恋愛スル


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