2008年 08月 21日
彼に会う。Part3
 
今までのことはすべてなかったような顔をして
いかにも久しぶりに会った友達ですみたいな顔をして

そうすることが「大人になった」ってことなんだろうか

別にそれが良いとか悪いとかじゃなく
「こうしたほうがいい」と考える間もなくこうして笑っている私がいる


思い出せない

私は昔からこういう人間だったのだろうか
それとも歳や時間や経験がこうさせるのだろうか

それでも彼を無視をしたり嫌な顔をするという選択肢は思い浮かばなかったし
声を掛けたからといってそうされる心配を全くしなかったのは確かだ


帰る方向は一緒だけれどどちらも動こうとはしなかった

久しぶりに頭をフル回転させて
こういう場合どうやって帰りを切り出せばいいのだろうかと考えた


  「これからどっか行くの?」

  「あぁ。ちょっと先輩の店に呼ばれてて。」

  「そうなんだ。私もちょっと寄る所あるし。」

  「そっか。」

  「うん。じゃぁ・・・また、ね。」

  「ん・・・またね。」


次なんてない

連絡先を知らない私からは何もないし
ましてや豆から連絡がくることは絶対にないだろう

ないけど「じゃぁ」だけじゃ少し足りない
「バイバイ」と言い切れる私たちじゃない

二人とも分かってて「またね」って言える



  嬉しい

  悲しい

  寂しい

  楽しい

  切ない

  懐かしい



豆と反対方向に歩く自分のヒールの音を聞きながら
感情を表すような言葉を一つ一つ思い浮かべては打ち消す

どれも違うような気がした


もしかして日本語以外の言語にはあるんだろうか
この気持ちのど真ん中を指し示してくれるような言葉が

心拍数が上がって心臓がドキドキしていることだけは分かる

真っ直ぐ家に帰ろうと思っていたことなんて忘れて
私の足はいつものダーツバーに向かっていた
 
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by nobiko9 | 2008-08-21 22:56 | 恋愛スル


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