2008年 02月 21日
4019 part4
 
マスターとバー談義をしたり
みんなの会社の愚痴を聞いたり

そうしているうちに
元上司と彼女、彼と私、になって話していた


「それにしてもひどいよな。俺、他の人に会うたびに言ってたんだぜ。
 野比と会ったら俺に連絡するように言ってくださいって。」

「そんなの、私はカケラも聞いてないですよ。」

「交差点ですれ違ったのってもう半年前だっけ?
 常識的に考えて野比のほうから連絡するのが筋だろ?
 ふぅ。はいはい。やっぱり俺からしないとダメなわけだな。」

「だってメアド知らないし、いきなり電話するのはハードル高いですよ。」

「俺はこんな努力してたのになー(笑)」


そんなに仲が良かったわけもないが
こんなふうに話をしてしまう気安さがお互いにあった

彼が私の肩に手を置いて得意げに責めてくるのにまた少し腹が立った
私はその右手を肩から外し、両手で包み込んだまま目を見て言った


「じゃぁ言わせてもらいますけど、他の人に言ったって
 私がそれを聞いたかどうかは確認してないですよね?」

「ほぉ」


彼の目が、一瞬笑ったように見えた


「伝言を聞いたのに何の連絡もしなかったら悪いと思いますけど
 私は何も聞いてないわけだし、それなら何もしてないのと同じじゃないですか?」

「それなら言わせてもらうが、お前は何かしたのか?
 何もしなかったお前よりはましだ。」


言い返してくる私が楽しくて仕方ないといった感じだ


「さっき言ってましたよね。仕事は過程じゃなくて数字
 それはつまり結果がすべてってことですよね。
 それなら何もしなかったのと同じことじゃないですか。
 私を責めること、できないと思いますけど?」

「くそ。そうきたか・・・。まぁ、でも確かに。」


彼と向き合っていた身体をカウンターに向けると
自分のグラスが空になっていることに気付く


「次、何飲む?」

「うーん、同じ感じで。」

「マスター。これ、ちょっとお酒強めにして。」

「何、勝手に言ってんの?」

「結構強いんだな。」


そう言いながら彼は右腕を私の腰に回した
店自体が暗く、さらに元上司のほうからは死角になっていて見えない

その手が徐々に下がってくるのを感じる


「ふふふ。」

「どうしたの?」


右隣に座っていた彼女が酔っ払った顔で私に尋ねた


「いや。何か楽しくなってきた。
 私、酔うと何でも楽しくなってずっと笑ってるから気にしないで。」


飲んで泣いたり、キレたり、愚痴る人の感覚が分からない

目が合っても、それこそ箸が転んでも
すべてが愉快に思えるのが私のお酒だった


「どうぞ。お口に合わなかったらおっしゃって下さいね。」


そう言ってマスターが差し出した新しいグラスには
綺麗な薄いブルーがキラキラと輝いていた。
 
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by nobiko9 | 2008-02-21 09:08 | 恋愛スル


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