2007年 10月 19日
好きだと気付いて以来、初梅。part5
 
最終列車の時間が近づいてきた。


  「じゃぁ、ばあちゃん。私、帰るから。
   また来るからね。またね。」


私は祖母の肩に手を置き、耳元で声をかけた。


車で、新幹線の止まる駅まで送ってもらう。

階段を上り、改札の前で立ち止まる。
発車時刻まではまだかなりの時間があった。

改札の向こうからは冷たい風が吹いてきて
そのせいか、なぜだかそのまま改札を抜けることが躊躇われた。

私は携帯を取り出して梅にメールを打っていた。


  昨日は。おうちまで送ってくれてありがとうございました。
  久々のお酒だったので、ハシャイでしまった
  ブーツはいいの買えた?

  たった今、内金払ってきた
  んじゃ、飲み行くか?


昨日会ったばかりだというのに。
会いたくて会いたくて堪らなくなった。

300km先に本当に梅がいることを、無性に確かめたかった。
私はそのまま梅の電話番号を押した。

電話なんてほとんどしたことがなかったし
話すことなんて何もなかった。

8回コールして、留守番電話になった。

拍子抜けしてその場にしゃがみこむ。
一呼吸して、返信しようと思っていたら電話が震えた。


  今電車なり


思考が鈍く、次の動作に移るのが遅い。
ホームに移動しながらメールを作らなきゃと考える。

私は携帯で駅名の写真を撮り、それをメールに添付して送った。
ぼんやりしながらホームに滑り込んできた新幹線に乗る。


  3時間30分、待ってもらえるなら。

  何しに行ってんだ?

  見舞いだよ。昨日ちょびっと話した、ような気もする


土曜日の最終の新幹線はすいていて
自由席の車両には私を含めて3人しか乗客がいなかった。

猛烈な眠気に襲われ、そのまま意識がなくなった。


いつものメロディーに起こされて目が覚める。
もう、降りなくてはいけない駅だ。

梅からの返信はない。
新幹線から普通列車に乗り換える途中、一瞬考えてメールする。


  はい。いくよ

  鮭西京味噌焼き。美味しかったです
  醤油漬けサーモンのサラダ。美味しかったです。
  ちょいと高い豆腐。大豆の味が濃厚で美味しかったです。
  おやすみなさい


電車に揺られながら考えた。

これが彼氏ならきっと、会っているに違いない。
「会いたい」と言って、会いに行ってるかもしれない。
「会えない」と言われたって、「少しだけ」と会いに行ってるかもしれない。

この言葉にできないグルグルした気持ちを話すかどうかは別にして
一人でいられない私はその彼氏と一緒にいるのだろう。

そうやって誰かといることが、いいのか悪いのかもよく分からない。

それができないことに対して冷静でいられる自分で
それを期待してはいけない関係で

心底よかったと思った。


この状態で梅に会ったら
いろんな感情が溢れすぎて、涙となって流れていたかもしれない。

そんな姿を見せるなんてとんでもないし
ましてや受け止めてくれなんて言いたくない。

話したいことはたくさんあった。
でも何一つ、伝えたいことは言えないんだ。



  なんかそう言ってくれて良かったかもしれん
  おやすみなさい

  いい夢見ろよ

  ありがと。梅もね

 
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by nobiko9 | 2007-10-19 13:53 | 恋愛スル


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