2007年 09月 23日
線香花火。part3
  
あいつは大きな目を見開いて固まったあと
弾けたように走り出した。

泣きそうな顔してた。

最悪だ。
泣きたいのは俺のほうだ。

好きな女びっくりさせてどうすんだ。
しかも一番最悪な形で気持ちを伝えてしまった。


動けないまま立ちすくんでいると
急に駆け出したあいつに気付いた奴が追いかける。

途中、俺に向かって言う。


  「お前、一体何したんだよっ。」

  「文句言ってる暇があんなら追えよ。
   好きなんだろ。」


俺は最後まで動けなかった。

情けなかった。

追いかけられない俺も
ちゃんと告白できなかった俺も
あいつを泣きそうな顔にさせた俺も

すげーしょぼい。
すげー中途半端だ。


あの時に切れたのはあいつに対してじゃなくて
そんな情けない自分に、だ。

情けない自分と情けない現状を
認めたくなかったからだ。


結局、この後二人は付き合った。


俺は。
俺はもう少しだけ時間が必要みたいだ。

二人が幸せになってくれればいい、なんて
そんなカッコいいことは思えない。

ただ。あの時に
奴に「追えよ」と言って背中を押せた俺は

奴に対する友情も、あいつに対する愛情も
どちらも嘘じゃなかったのだと思えた。



おしまい。
実話って、案外漫画っぽい。
 
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by nobiko9 | 2007-09-23 21:23 | 恋愛スル


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