2007年 09月 21日
線香花火。part1
 
後輩に送る物語。
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悩んでいた。


あまりにもベタな展開に呆れつつも
自分だけは違うのだと思いたかった。

親友と同じ女を好きになるなんて
今時、少女漫画にだってなかなか出てこない。


大学に入ってからできた大切な親友と
初めてこんな気持ちになった大好きなあいつと。

3人同じサークルで
いつも一緒に笑い合って

このアンバランスなバランスが
いつまでもずっと続けばいいと思っていた。

俺が何も行動を起こさなければ
ずっとこのまま続いていくのだと思いたかった。


夏の終わり。
いつもの店で、いつものメンバー。

もちろん。奴もあいつも一緒に盛り上がる。


季節に関係なく、いつでもビールは美味い。
目の前にはあいつがいて、やっぱりビールは美味くて

なんだか恋をしているというだけで
感覚や感性が研ぎ澄まされていくのを感じる。

同じ目で見て、同じ口で食べて、同じ肌で感じているのに
それまでの何倍もの情報が身体の中に入ってくるみたいだ。

アンテナがどんどん広がる。高くなる。

世の中の嬉しいことはすべて
あいつに繋がっていくような気がして

そんなことを思う少女趣味な俺は
やっぱり何かが変わったのだと納得した。


誰かが「花火、花火」と叫び出し
みんなで海に移動する。

この辺りまでくると、真っ暗で人がほとんどいない。

最初はふざけながらロケット花火を振り回していた奴らも
線香花火をやる頃にはしんみりした気分になってきた。


俺は笑いながら、でも
目の端ではいつもあいつを追っていた。

タイミングを見計らって
少し離れたところで二人きりになる。


やべー。
自分でこんなシチュエーション作っておきながら
緊張してきた。馬鹿じゃん、俺。

あいつはそんな俺のことなんか気にも留めず
涼しい顔で線香花火を見つめていた。
 
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by nobiko9 | 2007-09-21 14:52 | 恋愛スル


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