2007年 09月 05日
梅さん。part3
  
優しさと思いやり
私は少し考えてから話し出す。


  「うーん・・・。なんだろ。
   優しさのほうが独りよがりで押し付けてる感じがする、かな?」

  「うん。優しくするだけなら多分、すげー簡単なんだよ。
   相手がそっから成長して、将来同じことにならないように
   考えて行動するのが思いやりだと思うんだよな。」

  「あー。それ、分かるかも。どうでもいい人になら
   ものすごく優しくできるもん。何も考えなくていいから。」

  「だから。俺、彼女に優しくできないのかもしんねー。
   彼女ってなると俺にとっては身内のようなもので
   だからこそもっと頑張って欲しくなるから。」

  「それさー。今まで付き合ってきた彼女には
   絶対に理解されていないと思うよ。」

  「あぁ。よく言われる。”優しくない”って。
   だから今も彼女ができないんじゃねーの?」

  「大丈夫。そういうの分かってくれる人と必ず出会えるよ。」


さすがに私は。自分をそっち側の人間に置くことはできなかった。
「友達」なら。言っちゃいけないと思った。


  「梅はさ、多分下手なんだよ。相手にちゃんと気持ち伝えるの。
   人に甘えたり、弱い部分見せたりするのも苦手そうだし。
   だからいろんなところで誤解される。」

  「あー確かに。そういうの器用にできねーかもな。」


なんだか梅とこんな話をするのは珍しい。
いつもは友達のバカ話で終始するのに。

と。私は重要なことを思い出した。


  「今のうちに渡しておくね。
   これ以上飲んだら、酔っ払って忘れそうだし。」

  「ん?」

  「はい。ちょっと早いけど誕生日プレゼント。
   梅、忙しそうで次はいつ会えるか分かんないしさ。」

  「おぉー。すげー。何だ?本??」

  「うん。本。待ち合わせ1時間遅らせてくれって言ってたでしょ。
   しょーがないからその間に本屋さん物色してたんだ。」

  「おまえ、偉いな。さてはこの本で俺を自分の趣味に洗脳する気だな。」

  「そんなことしないよ(笑)ものすごく実用的な本。」


9月は梅の誕生日。
ずっと何をあげようか考えていた。

ちゃんとした所で食事をするのは照れくさいし
ましてや洋服やアクセサリーなんて全然違う。

選んだのは趣味の一つである自転車と
いつもお世話になっている料理の本。

実はそれまでも何度か本屋に足を運んでいたことは、秘密だ。


  「最初は自転車マップだけにしようかと思ったんだけど
   料理の本見てたらそれも欲しくなって、結局2冊買っちゃった。」

  「うんうん。ありがとな。」

  「だから最初に言ったでしょ。”今日手ぶらなの?”って」


いい具合に酔っ払ってお店を出る。


  「あ!」

  「どうしたの?」

  「イカとトマトの料理あったじゃん?
   次からもう少しバターを少なくしてくれっていうの忘れた。」

  「あはは。今度頼む前に言いなよ。」


人気のない日曜の深夜の路地裏を
二人でフラフラと歩き出す。


  「あ!」

  「どうしたぁ?」

  「ちょっと。10分だけ付き合って欲しいんだけど。」

  「今?」

  「うん。コレ、やろうよ?」


私は鞄の中から白い包みを取り出した。

手のひらサイズのそれからは
綺麗な赤と黄色が透けて見える。


  「なんだ、コレ?」
  
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by nobiko9 | 2007-09-05 09:54 | 恋愛スル


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