2007年 07月 20日
久々にひょうさん。2/2
 
タクシーに乗ってしばらくすると
ものすごく眠くなってきて。

うとうとしているうちについてしまった。
というか。行き過ぎた。

タクシーを降りた私は言う。


  「あはは。こっちまで来ちゃったね。少し歩かないと。」

  「あれ?ほんとだ。」

  「え?気付いてなかったの?この酔っ払い」

  「ま。いっか。歩こう」


タクシーに乗った意味が
まったくないじゃないかと考えながら

今度はひょうさんに腕をからませて歩く。

あぁ。なんて。
適当で素晴らしい人生。

こうしていても分かる。
まったく好きではない。
昔のドキドキなんて微塵もない。

傘をさしてる男がいる。
だから寄り添って歩く。
そして腕を組む。

当たり前の話だ。

分かれ道の所まできて立ち止まる。


  「じゃぁ、またね。」

  「傘、持っていきなよ。」

  「いいよ。すぐだし。」

  「いやいや。拾ってきたやつだし。」

  「傘、嫌いなの。」


そう言って傘を押し戻し
そのままひょうさんの首に腕を伸ばす。


  「んー。はぐはぐ」

  「はは」


人と抱き合うのって絶対的に必要だ。
一定期間、人と触れ合わないと何かが狂ってくる。

ひょうさんは少し笑って私の頭をなでる。
細い指が気持ちいい。

首筋に頬を寄せ、ひょうさんの匂いを嗅いでみるが
ビールと煙草と雨の匂いしかしなかった。

きっとこの人の身体は
ビールと煙草と雨でできているんだと思った。

しばらくそうしていて
ゆっくりと腕をほどいてひょうさんの顔を見てみたら

思わず笑いそうになった。
あぁ、人間の感情って
「キスがしたい」って顔に書けるんだと思った。

本当に可笑しかった。
今にも笑い出しそうだった。


だから私たちは。
キスをした。


軽く唇を合わせ。
何かを確かめるようにゆっくりと長く。

目が合って少し照れたように笑いながら
最後にもう一度キスをした。


やっぱり。
ビールと煙草と雨の味がした。


私はありえないくらい冷静で。
酔っ払いの上にものすごく眠いはずなのに
ひょうさんの目の動きも舌の感触も覚えている。

以前、同じようなシチュエーションであれほど感じていた
嫌悪感も罪悪感も、もちろん愛情もトキメキもなく。

傘を差し出された男に腕をからめるのと同じ理由で
ハグをした男とキスをした。


気持ちがあればきっと、違う感情を誘発するのだろう。
悪いことをやっているという意識に酔ってみたり
道徳的にいけないと自分を戒めたり。

お互いに何の感情も抱いていないと
こんなにも何も感じないものかと思った。

例えこの人とエッチすることはあっても
この人を好きになることは、ましてやハマルなんてことは

絶対にないのだと分かった。
 
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by nobiko9 | 2007-07-20 12:15 | 恋愛スル


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