2007年 07月 12日
豆との出会い。part3
 
告白する、という選択肢もないまま
私達は卒業を迎えた。

第二ボタンをもらうでもなく
手紙を書くわけでもなく

私にできたのは
卒業アルバムにメッセージをもらうことくらいだ。

卒業式が終わった春休み
私はいつものように自転車をこいでいた。

いつものように自転車を止め
いつものように本棚を眺めていた。


  ガシャン


外で自転車の止まった音がした。
振り向くと豆がいた。


  「こんにちは」

  「こんにちは」


なんだかひどく懐かしい感じがした。
でも心のどこかで「これが最後かもしれないなぁ」
と思っていた。

カウンターのおじちゃんに借りていた漫画を返し
新しい漫画を差し出す。


  「じゃぁ」


そう下を向きながらつぶやいて外に出ると
豆も出てきた。


  「途中まで」


二人で自転車にまたがり
言葉少なにペダルをこぐ。

分かれ道の信号で私達は
立ち止まって話し出す。

高校のことや友達のことや。
案外、二人きりでも話せるなぁ、なんて思っていた。


ふと会話が途切れた瞬間。

いつもと違う空気を
私は肌で感じていた。

豆が言った。


  「好きな人は、いないの?」


竹田君のことは違ったみたいだと伝えていた。

なんだか昔に同じ質問をされた気になりながら
私は答える。


  「いるよ。」

  「俺の知ってる人?」

  「うん。知ってる人。」


言う気はまったくなかった。
興味本位で聞いてる奴に言ったところで
どうにかなるものだとは思えなかった。

そんな私の思いとは裏腹に
豆は諦める気配がなかった。

なんだか私は
だんだんとめんどくさくなってきた。

もう二度と会わない人に
好きだと言っても言わなくても
結局は同じじゃないかと思った。


  「誰?」


何度目かに聞かれた時
私は目の前の豆を指差した。


  「・・・・・・。」

  「・・・・・・。」

  「・・・・・・その人のこと、まだ好きなの?」

  「そうだね。」

  「その人と付き合いたいって思う?」

  「付き合っていただけるなら。」

  「・・・うん。」

  「は?!」

  「よろしくお願いします。」

  「・・・・・・よろしくお願いします。」


こうして私達は
高校入学を目前に付き合うようになったんだ
 
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by nobiko9 | 2007-07-12 22:18 | 恋愛スル


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