2007年 07月 04日
ちょっと思い出した。
 
のびさん、と呼ばれて

一瞬。
頭の中を何かが通り過ぎた。

私は大抵
「のび」か「のびちゃん」と呼ばれる。

久しぶりに私のことを「のびさん」と呼んだ彼を
一葉という。


歳は下だけど
落ち着いた話し方や
声のトーン、本の趣味や

何より。
真っ直ぐに相手の目を見て話す視線の強さが
彼を大人びて感じさせた。

熱い太陽の下で出会ったからか
私達はすぐに打ち解けた。

それは何かを予感させるほどに。


のびさん、のびさん。

食事に行き


のびさん、のびさん。

海で遊び


そう、笑顔で呼ばれるうちに
ぼやけた記憶が鮮明になってきた。


そうだ。
一葉はこあらに似ている。


こあらは年上にもかかわらず
私のことをずっとのびさんと呼んでいた。

一葉に呼ばれるたび
頭の中でこあらの声が響く。

浮かぶ映像は
笑ってる口元だけ。

踏み切りを待ってるとき
買い物帰りに手を繋いでるとき
食事の後にコーヒーを飲んでるとき


そっか。
最初から誰かに似てると思ってたら

なんだ。
なんとなく惹かれているかもしれないと思ったら

一葉の中にこあらを見ていたのか。


世間では
女は昔の男を忘れて
さっさと次の男を捜しに行くように言われてるけど

まったくもってそんなことはない。

一緒に行った場所や、見たもの、聞いたこと
空気の感触や風景の匂いが記憶にこびり付いていて

絶対に忘れることができない。


そんなふうに
久しぶりにこあらのことを考えていたら

会社の近くでばったり会った。

いや。
ばったり見かけた。


むこうは気付いていない。
だいたい会社の近くに私がいるなんて
思いもよらないだろう。

なんだかとても懐かしく
昔のことをいろいろ話したい気分になったけど

それがプラスに働くことは
やはり少ないのだということを

今の私は分かっている。
  
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by nobiko9 | 2007-07-04 14:00 | 恋愛スル


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