2007年 04月 05日
始まりの日。Part1
 
その人とは。
今の職場で知り合った。


はっきり言って私は
仕事場でもものすごく適当だ。

もちろん仕事は真面目にする。

が。
服は適当だし。

第一。
ノーメイクに眼鏡をかけて
髪の毛ぼさぼさだったりする。


その理由の一つは
お客さんや一緒に仕事をしている他社の人と
ほとんど話すことがないからだ。

一作業員の私はほぼ一日中
デスクでパソコンと向かい合っている。


ただ煙草を吸うので当然のように喫煙室によく行き
そこで上司と一緒にいると、普段は関わらないような人たちと
自然に話をする機会が増えていった。


彼はその中の一人だった。


たいてい。私と同い年の、左の薬指に指輪をしているお兄ちゃんと
二人で煙草を吸いながら仕事の真面目な話をしていた。

でも。私と話す時は。歳や会社や
そういうもろもろの立場の壁をすっと取っ払って
馬鹿なことを言える、不思議な人だった。

年齢的にも雰囲気的にも
ずっと結婚していると思っていた。


3月のある日。

喫煙室で3人になり
ホワイトデーの話になった。


  「俺、今年は全然もらってなかったなぁー。」

  「俺も俺も。」

  「え?でも。少なくとも奥さんからは
   一個もらってるんじゃないですか?」

  「まぁ。でもそれだけだよ。」

  「俺は結婚してないし(笑)」


そして3月30日。

プロジェクトの納期が3月末で
多少の残件はあるものの
ほとんどの人が最後の日だった。

1次会はいつもの会議室を片付けてピザやおつまみを並べ
お客さんも他社のお兄ちゃん達も含め、みんなで飲みまくった。

電車のなくなる時間まで騒ぎ
10名ちょっとでカラオケボックスに行くことになった。

いつの間にか私は
彼と二人で歩いていた。

20m先には私より4つ下の女性が
彼女のファンであるお客さん達に囲まれている。


  「彼女と話してたら奴らに連れていかれた(笑)」

  「あはは。大人気ですもんね。」

  「でも、ちょっと。がんばりすぎな感じがするけど。
   そこまで気を使わなくてもいいよ、と思う時があるな。」

  「もう少しいい加減になってもいいかもしれないですね。」


彼が音楽をやっていたことや
カメラに興味があることなども
その時に知った。

私は4月いっぱい残るけれど
もちろん彼は今日で終わりだ。

そう。今日でもう会うことはないんだ。

なんでもっと早いうちに
こうやって話さなかったんだろうと後悔がよぎる。

すると。
そんな私の気持ちを察してくれたかのように、彼が言った。


  「そうだ。俺の名刺渡しておくね。
   ここに書いてある番号、この携帯のだから。
   連絡して?」

  「メアドも書いてある?」

  「あ。ちょっと待って。今、書くから。」


そう言ってペンを取り出す。


  「まじで連絡してよ。野比さんの会社の人には内緒だけど
   次の仕事場もこのすぐ近くなんだよね。
   今度、ランチでも一緒にしよう。」

  「うん。後でメール送っておきます。」
 
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by nobiko9 | 2007-04-05 00:13 | 恋愛スル


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