2007年 03月 28日
ひょうさんとデートする。其の4。
 
うつむいたまま。二人の間で
私の指先がひょうさんの手から離れるのを見届けてから


ゆっくりと顔をあげた。


あの距離で彼の視線と吐息を感じたら
今度は止まる自信がなかった。

彼は。
困ったような、笑ったような
それでいて寂しそうな

初めて見る表情をしていた。

そして私もきっと。
同じような顔で見つめていた。

そのままくるりと背を向けて歩く。

カツカツ、と。ヒールの高い音が響いて
一度も振り返ることはなかった。


今。ひょうさんと何がしたいかと問われて。


一度。してみたい。
と言ったら。

でもそれと同じくらい。

私みたいのがいくらがんばっても
落ちないところに意義がある。
と言ったら。


梅さんに。
「おまえ。難しいな。」
と言われた。


後から思い返してどうだった
あの時の気持ちはこうだった

そう理屈をこねたところで
今の現実は変わらない。

だって今の私は
過去の自分で作られているから。


不倫や浮気をしたくなる人の気持ちって
もっと熱くて激しいものだと思っていた。

もうそれしか行く道がない、というように。
あの人なしでは生きていけない、と思いつめるように。


でも私は。
おそらく。

もっと掴み所がなくて
ふわふわと実体がない。

それはつまり。

「好きじゃない」と強く思って
二人でいる時間を作らなければ

他の友達と楽しく遊んでいれば
忘れるくらいの感情でしかない。


人を好きになるのって
実はすごく簡単で。

自分で「この人のことが好きだ」
と思うだけでいい。

「自分はこの人のことが好きなんだ」って強く思う。

自覚するとか、気付くとかじゃなくて
ただ。そう思うだけ。


だから逆に。
その人のことを好きになりたくなければ
そう思わなければいいだけの話だ。


自分にパートナーがいるのに本気の恋愛をしたり
相手にパートナーがいる人を「好き」になるってことは。

どこかのタイミングで
それを許している自分がいる。


先に出会っていなかったから、とか
別は悪いことをしてるわけじゃない、とか
相手がパートナーとうまくいってないから誰も悲しまない、とか

少しでも行為を正当化する言い訳をいくつも用意する。

道徳的にいけないことだという罪悪感と
その先にある、つらさと共存する幸福感の甘い誘惑を秤にかけて

それらの言い訳を盾に
秤が傾くことを仕方のないことだと言う。


人の本質を見極めて好きになるなんて
そうそうあることじゃなくて。

いくら魅力的でも
友達の恋人や、仲間内の異性の友達に手を出さないのは

失敗しても成功しても
その後の自分の立場や周りの人間との関係を慮って
自分で強く意識しているからだけだ。

「この人のことを好きになってはいけない」と。


もちろん。
世の中にいる不誠実なカップルのうち
本当の意味で運命的に結ばれている人が
いるかもしれない可能性は否定できない。

しかし。
それはいったい何%いるんだろう。


そう。
人の感情なんて所詮。

そんな単純な思い込みでできている。
 
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by nobiko9 | 2007-03-28 02:21 | 恋愛スル


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