2007年 03月 23日
ひょうさんとデートする。其の1。
 
見上げた時に
ビルの谷間から覗いた

夜の青空だけを覚えている。

月灯りに照らされた私は
余分なものが次々と浄化されて

それとは逆に彼は
その灯りに染まっていくようだった。


待ち合わせは19時。

駅の階段を駆け下りる。
朝から「今日は早く帰る」オーラを出していたにもかかわらず
直前でばたばたとし、結局15分の遅刻だ。


  「こんばんは」

  「ほんと遅れてごめん!あー、遅刻しちゃった。」

  「忙しかったの?」

  「夕方にいろいろ言いつけられちゃったんだよね・・・。」


ひょうさんと会うのは10日前に15分くらい立ち話して以来。

今日一日はあんなに緊張していたのに。
会った瞬間にそんなことがすべて吹っ飛ぶのはなぜだろう。

駅からちょっと歩いたところにある和食居酒屋。
テーブルに向かい合って座る。


  「寒い?大丈夫?」

  「ううん。平気。ありがと。」


ひょうさんが連れて行ってくれたこのお店の
一品料理はどれも美味しくて
やっぱり少し飲みたくなった。

仕事とかダーツの話とか。3時間以上もずっと。
何を話していたのかまったく思い出せない。

でも多分。
私は自分の気持ちをそのまま言葉にしていた。


  「私が前からひょうさんのファンだってこと、知ってるでしょ?」

  「そう言ってくれると嬉しいよ。」


  「俺みたいな奴に付き合ってくれて
   こんな話を聞いてくれてありがとね。」

  「好きな人じゃなかったら一緒にごはんすら食べてないよ。」


好きな人が自分と一緒の時間を過ごしてくれるだけで
私は本当に嬉しい。

大勢と一緒、なのではなく
「私のため」に時間を割いてくれる、その事実が嬉しい。

自分にそれだけの価値があるんじゃないかと思えてくる。


ダーツ君とかアイスとか
好きになった人には素直になれないのに

仲のいい男友達には。
特にひょうさんみたいな大人には。
自分の感情をそのまま出してもいいという
無条件な安心感があるのはどうしてだろう。


ひょうさんの視線は強い。

あの真っ直ぐな瞳に見つめられると
嘘というか。変なごまかしや虚勢なんて
まったく意味がないように思えてくる。


そんなことを考えながら
ビールをもう一口飲んだ
 
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by nobiko9 | 2007-03-23 00:25 | 恋愛スル


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