2010年 06月 07日
温泉。part5
 
おはよ。


昨日の夜にしたことを思い出すと
こんなにも普通に挨拶をしていることが恥ずかしくてたまらない


「おはよ。」


そんな私の気持ちを知ってか知らずか
彼は私のおでこに優しくキスをする


天気が良ければ朝の散歩に行こうと思っていたのに
朝霧が濃く小雨も降っているようだ

軽くお風呂に入ってさっぱりとし
ゆっくり目の朝食をいただく

普段は朝を食べない彼が「美味しい」と言いながら
魚や野菜やご飯を食べる姿を見るのは

なんて幸せな時間なんだろう


部屋に戻ってごろごろと朝寝を楽しみ

最後にもう一度部屋の窓からの景色を目に焼き付けて
名残惜しく思いながらドアを閉める

昨日見た時には蕾だった廊下の一輪挿しが
ぱっくりと諦めたように花開いていて

少しだけ悲しくなった



「お世話になりました。」

「ありがとうございました。お気をつけて。」


おそらく最後の宿泊客だったのだろう

女将さんと宿のスタッフと
何名もの人が外まで見送りに出てきてくれる


「どこ行こっか?」

「そだねー。どうしよっか。」


雨の土曜日

二人でいることは決まっているのに
何の予定もない贅沢


「珈琲が飲みたい。」


私がそう言って老舗ホテルの一階にあるラウンジに入る
ほんの少しだけ残るツツジを窓から愛でる


「綺麗だね。」

「こっちはまだ涼しいから少し残ってるんだね。
もっと早い時期だったら満開で圧巻だろうな。
それでも俺、こんなたくさん咲いているの見たこと無い。」

「東京だったら根津神社あたりでツツジ祭りやってるよ。
植え込みじゃなくて手入れされているのはほんと素敵。」


薄曇ほうが緑や赤は映えるんじゃないかと思える


「ねーねー、まだこんな時間(笑)」

「ほんとだ。昨日も思ったけど、後から考えるとあっという間に
時間が過ぎているのに、流れている時は何だかゆっくりに感じるんだよね。」


会う時はいつも突然で時間がなくて

だからこうやって現実味のない空間でぼんやりと時間が過ぎて

そしていつの間にか終わりがきていたら


それは

どれほど素敵なことだろうか。
 
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by nobiko9 | 2010-06-07 14:46 | 恋愛スル


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