2010年 04月 15日
好きな人ができた。part27
 
こんにちはー。


平日は準備中のこの時間も
日曜は通しで営業をしているらしく

ここまで来て「行かない」選択肢を
私たちは持っていなかった


女将さんに挨拶をしてたたきで靴を脱ぐ
広い座敷には夕方の早い時間ということもあってまだ誰もいない

板張りの床のひんやりとした空気の中
掘りごたつ形式のテーブルにつくと

目の前には大きな馬の墨江が私たちを見下ろしている

私は最初に彼と食事をした時のことを思い出していた


木の匂い 期待 冷たい空気 ドキドキ 美味しい食事 笑顔


「どうしよう。このお店絶対に美味しいよ(笑)」

「今思い出したんだけど、俺、このお店来てみたかったんだよね。
なんか今まではタイミング合わなくてさ。」

「そうなんだ?すごい偶然だねー。」


ビールで乾杯して馬刺しを食べて
日本酒を飲んで鍋をつついて

ヒレも雑炊も麩もつくねも
「ほぉー」と唸るほど美味しく

明治創業も伊達じゃないと思った


気付けば日本酒は6合が空になっていて
笑いが止まらなくて足元がおぼつかなくなっている


「ごちそうさまでしたー。」

「ありがとうございました。あら、大丈夫ですか?」

「はーい。ちょっと酔っ払っただけです(笑)」


二人で店を出てタクシーで駅まで揺られる

手を繋いでキスをして見つめ合って
ドキドキして大好きで何で帰らなくてはいけないのかと思った

駅に着いて改札を抜けて階段を上がることができなくて
抱き合ったまま私は何も話すことができない


「・・・・・・。」

「帰りたくないね。」

「そうだね。」

「でも、帰らないと明日つらいもんね。」

「でも・・・。寂しいね。」


穏やかな気持ちなのに
鼓動だけがギュンギュンとうるさくて

私はいつの間にこんな人間になってしまったのだろう


彼の匂いに包まれて

このまま眠ってしまえればいいと思った。
 
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by nobiko9 | 2010-04-15 18:05 | 恋愛スル


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