2010年 04月 13日
好きな人ができた。part26
 
どっち・・・かな?


私たちは交差点を迷っていた


まだ夕方も早い時間だし
おやつにお餅を食べたばかりだし

それでもオジサマたちの話していた
馬刺しのお店に行きたいという気持ちは同じだった

日曜日だし夕方だし もしも開いていなければ
「こんなお店なんだねー」と見て満足だし

第一探し当てることなんてできなくても
なんだか楽しそうだとういう期待だけは持っていた

商店街を抜けてまっすぐに進んで
それでもズンズン進んで行って辿り着いた交差点だった


「んー。どっちだろ。」

「どっちだろうねー。」

「とりあえず信号渡ろっか。」


冒険の旅もここまでかと思った瞬間
彼が言った


「あった!土手!!」


彼が指をさす方を見ると
大通りの道路標識に「土手通り」と書いてあった


「地名もさ、"日本堤"だって。
もしかしたら本当に昔はこの辺りに土手があったのかも。」

「ほんとだ。水っぽい漢字だもんね。
でも、ここどこだろ。もう少し南に下ったら浅草とか?」


良くは分からないけれど
私たちは間違っていないのだと嬉しくなって

子供のように笑いながら通りに平行している
一本隣の路地裏を進むことにする


住宅と小さな会社がひっそりと並んでいて
いるのは眠そうな猫ばかりで

人が出てきたと思ったらシャレにならないくらいの美女で
彼女を追うか路地裏を確認するか迷って

そうこうしているうちに商店がポツポツと現れ始め
何となく人の気配が増えてきたようだ


後で調べてみると
この辺りはかの有名な吉原で

遊郭の周囲を堀で囲っていた名残が
水に関連する地名や通り名に表されているようだった


そんなことも分からない私たちは
駅も見当たらないのにと不思議に思いながら

土手通りをずんずんと進む


「ここ・・・かな?」


通りの左側にいかにも老舗といった佇まいの
古い日本家屋が現れる

看板には「桜肉鍋」と記されていた。
 
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by nobiko9 | 2010-04-13 17:41 | 恋愛スル


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