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2010年 04月 08日
好きな人ができた。part24
 
せっかくだから、川沿いを歩いてく?ちょっと遠回りになるけど。」

「そうするー。きっと桜が綺麗だね。」


中目黒の駅に着き信号を渡ると桜並木で有名な目黒川だ


「ちょ。すごい。俺、こんな見頃な時に来たことない。」

「私も。この時期に来たの初めてかも。」

「これはさ、飲まないと桜に失礼だよ。そう、失礼(笑)」


もはや全てが飲む口実にしか聞こえないが
私もそう思ってしまうから仕方がない

川沿いから少し戻った場所にある東急ストアで缶ビールを買い
表に出て勢いよくプルトップをあける


「かんぱい!」 「かんぱーい!」


お店のテラスで飲んでいる人
道端で即席宴会場を作っている人
テキーラの量り売りをしている人

全てが一緒くたになって
それはこの季節のこの空の下だから許される

いつまでも続いていくような桜並木を
缶ビールを片手に思い思いに歩く


私は
ほんのちょっとだけ春の梅を思い出す

そう
梅は四季を感じさせてくれてばかりだった

だから
昨日のことのように思い出せる春の風景を思い浮かべながら言った


「満開の頃になると、桜の花びらで川が真っ白になるんだよね。」

「満開もいいけどさ、今日みたいな6分咲きくらいっていいね。
蕾がさ、なんかエッチだし。」

「あー、分かるかも。瑞々しくて若い女の子な感じ。」

「そうそう。満開でドンとされるより、なんかやらしくない?」

「やらしい、やらしい(笑)だから、こんな時にここに来れた
うちらはラッキーなんだって。」


ビールをちょうど飲み終わるくらいにお店に到着し

店内は当然のように混んでいて
私たちはこんな日に来たことを申し訳なく思う


マッコリを飲んでタン塩食べて
タレに漬け込まれたとうがらしは最高で
ナムルなどの普通の皿がとてつもなく素晴らしいものに思えて

なんでこの人と一緒にいると
食事もお酒も美味しくてたまらないのだろうかと思う

自分の中にあるパワーが増幅されるのか
それとも新しい力が湧き出てくるのか

どちらにしても楽しくて楽しくて仕方がない


マッコリの瓶が何本か空いて
当然のように電車の時間は終わっていて
お店を出てお見送りの影が見えなくなって

今まで楽しく話していたのが嘘だったように
もうずっとそうしたかったかのうように


どちらからともなく真夜中の横断歩道でキスをした。
 

by nobiko9 | 2010-04-08 10:47 | 恋愛スル


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